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本

日本の昔話にも、深いテーマ性を持ったものが少なくありません。

『瓜子姫(うりこひめ)とあまのじゃく』もそのひとつです。

ストーリーを見てみましょう。

例によって、おじいさんとおばあさんには子どもがいませんでした。

ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな瓜が流れて来ました。

おばあさんがそれを家に持ち帰って包丁で切ってみると、中から女の赤ちゃんが出て来ました。

喜んだおじいさんとおばあさんは瓜子姫と名付けて、赤ちゃんを可愛がり可愛がり、大事に大事に育てました。

やがて、姫は機織(はたお)りが得意な美しい娘に成長しました。

姫には、長者から嫁にもらいたいという縁談話が来ていました。

そこである日、おじいさんとおばあさんは、婚礼で姫が着る着物を買うために、町に出かけることにしました。

ふたりは姫にこう言いました。

「いいか。この辺りに最近あまのじゃくという悪い鬼が出る。だから、誰かがやってきて戸を開けてくれと言っても、絶対に開けてはいけないよ。」

「はい。わかりました。」

姫がそう返事をすると、おじいさんとばあさんは出かけて行きました。

暫くしたときです。

戸の向こうで声がしました。

「この戸を開けておくれ。」

あまのじゃくでした。

姫は断りました。

しかし、あまのじゃくがあまりにもしつこいので、少しならいいだろうと思って、ほんのちょっと戸を開けました。

すると、あまのじゃくは鋭い指の爪をその隙間に差し込んで、勢い良く戸を開けてしまいました。

そして、姫を連れ出すと、木の幹に縛り付けて家に舞い戻り、姫に化けました。

何も知らずに帰って来たおじいさんとおばあさんは、あまのじゃくを姫だと思い込み、嫁入りの準備を始めました。

結局、あまのじゃくはまんまと長者の花嫁になってしまいました。

ところが、婚礼の日、あまのじゃくがうっかり顔を水で洗ったので、紅白粉(べにおしろい)が剥(は)がれて正体がばれ、あまのじゃくはみんなに追い立てられて山の中に逃げて行きました。

木に縛られていた姫はまもなく助けられ、長者とめでたく夫婦になることができました。

アニメ

これが一般に知られている物語ですが、やはりこの他にもいくつものパターンがあります。

姫をあまのじゃくが連れ出す際、「美味しい桃の実がなっている木があるから、一緒に行こう。」と言って誘う、というバージョンがあるのですが、その先の展開がまた複数あり、あまのじゃくが桃の木に姫を縛り付ける、縛って枝から吊るす、木に登らせて転落死させる、桃の実をぶつけて殺す、などとなっています。

いずれも残酷なストーリーです。

しかし、これよりさらに残酷なパターンが存在します。

あまのじゃくが姫を殺した後、その皮を剥ぎ取ってかぶることで姫に化け、姫の体を切り刻んでしまうのです。

そして、もっと凄惨(せいさん)なことに、あまのじゃくは帰って来たおじいさんとおばあさんに、イモだと言って姫の指を食べさせ、お茶だといって姫の血を飲ませてしまう、というバージョンまであります。

いずれにせよ、姫が殺されるという展開になっている話では、最後に彼女が長者と結婚してハッピーエンド、ということには当然なりません。

あまのじゃくの正体がばれるのも、かぶっていた姫の顔の皮が剥がれたから、という形になります。

「化けの皮が剥がれる」という言葉は、ここから来ているのではないでしょうか。

姫が殺される話では、それを知ったおじいさんとおばあさんが激高し、あまのじゃくを鋤(すき)や鍬(くわ)でめった突きにして殺します。

こういったバージョンは、絵本などになっている話とはとても比べものにならない、殆ど全編が血塗られたスプラッターホラーです。

ところが、実は、こういうおぞましい物語の方が元の話だったのです。

紙芝居

昔話の多くがそうであるように、『瓜子姫とあまのじゃく』は、元来大人のための話だったのではないか、と思います。

盛られたテーマが大人向けです。

姫を夫婦間に遅くにできた待望の子と捉えると、総てがつながります。

言ってみれば、姫は、蝶よ花よで育てられた箱入り娘です。

世間を知らないのです。

あまのじゃくは、『3匹の子ブタ』のオオカミと同じく「世間の荒波」です。

箱入り娘などがとても太刀打ちできる相手ではありません。

言うまでもなく、世間知らずの彼女は、世間というものについて判断する力に欠けています。

だから、あまのじゃくを家に入れてしまったのです。

そして、その時点で、彼女は親の厳命に軽く背いています。

箱入り娘に育ててしまうと、独りよがりになって親の言うことも聞かなくなってしまうのです。

この作品は、子弟教育の誤りを厳しく戒めたものだと言えるでしょう。

その報いを姫親子は受けるわけです。

姫は玉の輿(こし)結婚も叶わずに社会から抹殺され、両親は子を失って絶望します。

その怨念(おんねん)から、ふたりはあまのじゃくを惨殺するのですが、これが子に先立たれた親の嘆きを表しているという解釈もできるでしょう。

しかし、いくら悲しんで、子を手にかけた相手をなぶり殺しにしても、もはや後の祭りなのだ、と作者が言っているようにも見えます。

つまるところ、この物語の悲劇の大元は、おじいさんとおばあさんが永々(えいえい)とおこなってきた、姫に対する誤った教育だったのです。

「年寄りっ子は三文(さんもん)安い」という言葉を思い出させる昔話です。
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Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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