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チャイコフスキー

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840~1893)が作曲した『ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23』を初めて聴いたのは、中学2年の「音楽」の授業で、でした。

そのときの音楽の先生はベテランの男性教師で、毎時間なんらかの楽曲のレコードを聴かせてくださったのですが、その中で最も心引かれたのがこの曲でした。

しかし、曲全部を聴かせてしまうとそれだけで授業時間が終わってしまいますので、大きな曲はたいていが例外なく冒頭の部分だけしか聴けませんでした。

この曲は透き通ったホルンの音から始まり、壮大なオーケストラが前奏を奏でると、雄渾(ゆうこん)な3拍子の和音をピアノが奏しながら登場します。

そして、魅力に溢れる旋律をオーケストラとピアノが互い違いに演奏し、それらが絡み合うようにして音楽を盛り上げていくのです。

素晴らしい曲だなあ、と思いながら聴き惚れていると、先生が突然おっしゃいました。

「ここから先は、恐ろしく長いんだ。」

そして、レコードから針を引き上げてしまわれたのです。

演奏はあっけなく途切れ、先生は「ここから後は、君たちには退屈だと思う。でも、聴きたかったらレコード屋さんで買いなさい。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番というんだよ。」とおっしゃいました。

これは、強烈な動機付けでした。

数日後の日曜、親に頼んでお金をもらい、新宿のレコード店に行きました。

当時のクラシックのLPレコードはジャケットが見開きで、2,000円しました。

しかし、正にその頃、廉価版(れんかばん)と称して1枚1,000円のLPが発売され始めたのです。

そのレコード店にも廉価版が置いてありました。

ジャケットは見開きではなく、ボール紙の平たい袋にレコードが収まっていて裏に解説が書かれている、という体裁で、やはり外観は正規のLPに比べると相当見劣りがしました。

でも、中学生にとっては2,000円は大金です。

もし中身に遜色がないのであれば、その半額で1枚のLPが買えるのは大変な魅力でした。

けっきょく、そのお店で廉価版LPを買いました。

ピアニスト、指揮者、オーケストラ、レコード会社、レーベル、どれについても何一つ知らない中学2年の少年が買ったレコードは、この1枚でした。

A面 チャイコフスキー『ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23』

B面 ベートーヴェン『ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73<皇帝>』

ピアノ  クラウディオ・アラウ

指揮   アルチェオ・ガリエラ

管弦楽  フィルハーモニア管弦楽団

レーベル セラフィム(東芝EMI)

例によって、このレコードをすり切れるほど聴きました。

そして、後に知ることになるのです。

アラウは20世紀を代表する巨匠、ガリエラは50年代から60年代にかけて活躍した名指揮者、フィルハーモニアはカラヤンやフルトヴェングラー、クレンペラーの薫陶を受けたイギリスの一流オーケストラだ、と。

やはり、ステレオ初期の録音だと思います。

現在もこのレコードは大切に保管しています。

この音源はCD化されていないので、今となっては貴重な1枚です。

その後、大学生のときにチャイコフスキーのこの曲の圧倒的名演を記録したレコードに出会いました。

ピアノ  ウラディミール・ホロヴィッツ

指揮   アルトゥーロ・トスカニーニ

管弦楽  NBC交響楽団

レーベル RCA(輸入版アメリカ製)

1941年5月6日、14日、ニューヨークでのライブ録音です。

ホロヴィッツ

こちらは何種類ものCDになっていて、もちろん手元にもあります。

なぜ録音の日付が6日と14日となっているかというと、それは、どちらかの日の第2楽章の演奏でピアノとオーケストラが完全にずれてしまったからです。

ですからこれをボツにして、きちんとした演奏の第2楽章を採用し、さらに両日の録音からより良い第1、3楽章を選んでレコード化したのです。

しかし、そんなことなどまるで関係なく、演奏は奇跡的なまでの完璧なものです。

ずいぶん前に、この両日の演奏がそれぞれA面とB面に収められたレコードが出ていました。

確か『ふたつのピアノ協奏曲』という副題が付いていたと記憶します。

ピアノとオーケストラがずれまくっている第2楽章の演奏を聴くことができたのです。

NHK-FMで聴いて驚いた覚えがあります。

かつて方々を捜しましたが、今はもう絶版です。

復刻してほしいですね。

それにしても、あの音楽の先生に教えていただくことができて、本当に良かったと思います。

他にもたくさんの音楽に対して感性を向けるレディネス(準備性)を作っていただきました。

心より感謝しています。

こういうコミュニケーションを作ることが授業とか学校の目的なのだ、と実感する次第です。
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Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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