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信号機



信号が青になった。

早く。

横断歩道を一気に駆ける。

渡ったら左に。

二つ目の角を右に。

もうちょっとだ。

と、行く手に、一人のおばあさんが、大きな手提げ袋を両手に持ったまま、疲れきった表情で立ち尽くしている姿に出くわした。

健太が速度を落として傍らを通り過ぎようとすると、おばあさんが言った。

「・・・すみませんけど、これ、持ってもらえんでしょうか・・・。

聞けば、ここから四、五軒先の家に行きたいらしい。

急いでるんだけどなあ・・・。

でも、すぐ済むか・・・。

「いいっすよ。」

デイパックをしょって通学しているので、両手はいつも空いている。

健太は、手提げ袋をすばやく受け取ると、すたすたと歩き始めた。

ものの二分とかからずにその家に着くと、後からゆっくりと追いついてきたおばあさんは、丁寧に礼を述べ、なんべんも頭を下げた。

はにかみながら、ぴょこんとお辞儀をして、「さよなら。」と言うが早いか走り出そうとした、その瞬間だった。

突然、健太の体を、激烈なショックが襲った。

それは、頭のてっぺんと足の爪先(つまさき)の両方向から同時に湧き起こり、体の中心部に向かって猛烈な勢いで突進してきた。

あ、あああ・・・。

正に、この世のものとは思われない、めくるめく快感だった。

体中の神経という神経が愉悦(ゆえつ)の坩堝(るつぼ)と化した。

あらゆる器官と組織が媚薬(びやく)の餌食(えじき)となった。

健太の肉体は、地獄のような昂奮(こうふん)に激しく痙攣(けいれん)した。

な、なんなんだ、これはぁぁぁ!!

助けてくれぇぇぇぇぇっっっっっ!!!!

心の中で絶叫したとたん、全世界が悪魔のような緑色に変色した。

叫び

体のど真ん中が炸裂(さくれつ)した。

恍惚(こうこつ)の頂点が噴火した。

視界と意識が混濁(こんだく)の中で煮えたぎった。

失神寸前の瀬戸際で、健太のすべては丸裸に剥(む)かれ、陶酔(とうすい)の業火(ごうか)に焼かれた。

死にそうだぁぁぁぁっっっっ!!!

死んでもいいぃぃぃぃっっっっ!!!

死んでもいいいいいいいいっっっっっ!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

どのくらいたったのだろう。

健太は、道ばたの塀にもたれかかっている自分を発見した。

おばあさんを送ってきた家のすぐそばだ。

息が少し荒い。

頭の芯がじーんとしている。

だが、体はどこも痛くない。

時間も、さほど過ぎていないようだ。

こんなに気持ちいいことが、世の中にあったのか・・・。

まだほてっている頬に手をやりながら、健太は心からそう思った。

でも、今のは、いったい・・・・・・。

え!?

健太は、はっとしてポケットを押さえた。

ま、まさか・・・!

健太は、手の感覚を疑った。

大きくなってる!

ひとまわり大きなサイズとなって、それは間違いなく手の中にあった。

ズボンの薄い布一枚隔てた向こうにあるそれを掌(てのひら)で確かめながら、あの、めくるめく快感の余韻が、この肉体の真ん中に紛れもなく残されていることを、健太ははっきりと感じていた。

                                     つづく

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Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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