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和光



その日、閉店時間まぎわになっても、青年の姿は見えなかった。

水曜には、彼は来なかった。

それはわかっていた。

だが、今日は金曜だった。

「どうしたんだろう・・・。」

時計をちらっと見ながら、岡田はつぶやいた。

「・・・さ、閉店しましょう。」

従業員に声をかけると、岡田は、ショウウインドウの灯りを消すために玄関脇へと歩き出した。

ウインドウの外に、やはり、青年の影はない。

ふと天井を仰ぐと、シャンデリアの豪華な光が、今夜は心なしか艶を失っているように見えた。

玄関の外は、ふだんどおりの、大都会のにぎやかな夜である。

小さくため息をつきながら、岡田は、灯りのスイッチに手を伸ばした。

と、そのときだった。

岡田は、かすかに人の気配を感じた。

「・・・ん?」

ウインドウを内側から見ると、そこには、あの青年が立っていた。

「・・・・・・。」

青年と目が合ったように思った。

彼は、少しだけ会釈したように見えた。

が、次の瞬間、岡田は、はっとした。

青年の隣には、若い女性がたたずんでいた。

ロングヘアー

彼に比べるとずいぶんと背は低かったが、髪の長い、とても素直そうな娘さんであった。

思わず、岡田はにっこりと微笑んだ。

娘は頬を染めた。

そして、ゆっくりとお辞儀をした。

岡田は、みぞおちのあたりに、温かいものがこみ上げてくるような気がした。

こんな気持ちになったのは、生まれて初めてだった。

                                     つづく



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Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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