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この作品は数年前に別のブログに発表したものですが、好評だったため、タイトルを変えてここに再び連載します。

青年



「また来ている・・・・・・。」

いつもの青年だった。

「九時か・・・。」

岡田は、従業員に閉店の指示をしながら思った。

「結婚するのかな、もうすぐ。」

毎晩だった。

決まって八時五十分ごろだった。

青年は、店の玄関わきの、ショウウインドウの前にいた。

ディスプレイしてあるのは、何種類かのウエディング・リングだった。

この店は、日本を代表する貴金属店である。

東京の一等地の真ん中にあって、ひとつ五万円以下の品は置いていない。

だが、その青年は、裕福には見えなかった。

背も高く、やせ形で、顔立ちも整って、俳優にしてもいいくらいである。

しかし、いつ見ても、彼の服装が変わることはなかった。

シャツ、ジャケット、ジーンズ。

「大学、出たばっかりっていうところかなあ・・・。」

岡田は結婚して二十年たつが、子どもはいない。

入社以来、実直に、こつこつと働いてきた。

けっして手を抜かず、顧客第一を信条に、二十五年間やってきた。

その結果、この東京のど真ん中の、本店の店長に抜擢された。

三年前のことである。

だが、その任期もあと二年で切れる。

定年である。

天井を見上げると、シャンデリアが、華やかな光を誇り高くたなびかせている。

シャンデリア

ここは、紛れもなく、富裕層と呼ばれる人たちのための空間であった。

「ん?」

青年の姿は消えていた。

「どこに住んでるんだろう・・・。」

ショウウインドウのライトを消しながら、岡田は思った。

                                     つづく

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Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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