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歩く柴犬

ご住職は、しばらく目を細めて子犬を眺めておりましたが、やがて寺へと歩き出しました。

少し歩いたところで、気になったので振り返ってみますと、なんと子犬がついて来るではございませんか。

「そうかそうか。おまえも寂しいのか・・・・。」

子犬はご住職に寄り添うように歩き、寺までいっしょに来てしまいました。

「・・・しょうがないのう。」

ご住職の顔を見上げる、その子犬を見ておりますと、ご住職は、この小さな生き物が無性(むしょう)に愛(いと)おしくなって参りました。

そこで、残っていた粟飯(あわめし)でお粥(かゆ)を作って冷まし、与えてやったのでございます。

「犬が、こんなものを食べるかのう・・・。」

するとどうでございましょう。

子犬は、美味(おい)しそうに勢い良く食べ始めたのでございます。

「ほほう。犬が粟飯をなぁ・・・。お腹がすいておったのか。あまりたくさんはないが、おまえの小さな体には、それで足りるかな・・・?」

お粥をきれいに食べ終わると、子犬はご住職のヒザに上って来て顔をぺろぺろと舐(な)めました。

この日から、この子犬は寺の犬になったのでございます。

人であれ動物であれ、縛(しば)り付けるのが嫌いなご住職でございましたので、首に縄などを付けることもなく、ご住職は子犬を殊(こと)の外(ほか)自由にさせてやりながら育てました。

「孝行」の「孝」という字のつもりで「コウ」と名付けました。

コウはオスでございました。

夜は本堂の縁の下で眠り、朝になると出て来てご住職を待ちました。

ご住職が起きて参りますと、元気に吠えながら飛びついて参ります。

境内の掃除をするご住職に付き添い、朝のお勤めをしている間はおとなしく座っております。

僧侶

ご住職が朝のご飯を食べるときには、コウもエサをもらいます。

そして、ご住職とともに村を廻るのでございました。

まだ小さかったときは、寺の庭でご住職の帰りを待っておりましたが、だんだん大きくなって参りますと、いつの頃からかご住職について村に行くようになったのでございます。

村の衆もコウをたいそうかわいがるようになって、コウのおかげで村は少しずつ明るくなって参りました。

特に村の子どもたちは、コウが来るのを毎日心待ちにしておりました。

コウに煮干しを与えたり、いっしょに遊んだりして、子どもたちはとても楽しく過ごしたのでございます。

そんな子どもたちを見ておりますと、大人たちもイヤなことなど忘れるようになって参りまして、村からだんだんと争いごとやもめごとがなくなっていったのでございます。

「・・・いやぁ、おまえは正に孝行の犬だのう。」

いっしょに歩きながら、ご住職はコウに話しかけました。

「コウ!」

お百姓の家から子どもが2人走り出て、手を振りながら大声で叫びました。

ワン、と一声吠(ほ)えますと、コウは一目散(いちもくさん)に走って参りました。

「仲良くしてもらって、嬉しいのう。・・・コウ。」


                                     つづく



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Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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