FC2ブログ
≪ 2018 09   - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 - - -  2018 11 ≫
*admin*entry*file*plugin| 文字サイズ  
FC2 Blog Ranking FC2 Blog Ranking

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


プリザーブドフラワー

CDに収められた郡司さんの講演は、西山さんの胸を打ち続けました。

郡司さんの娘さんの死因は、小児性白血病でした。

亡くなってから四十九日までの間を、郡司さんは涙が涸れるほど泣き通しました。

しかし、いつまでも泣いていたってあの子は喜ばない、と立ち上がり、かねてから勉強していたプリザーブドフラワー、特殊な薬液に生花を浸けて長く保存できるように加工された花を実作し、お店に出してみました。

もちろん、娘さんの仏壇にはいつもこれを飾りました。

すると、それが評判になり、作品が郡司さんの半生とともにマスコミなどで取り上げられたのです。

郡司さんはこのプリザーブドフラワーを色々にアレンジし、キャンドルライトをあしらった新しい作品をいくつも開発しました。

花とキャンドル

作品の数々は発表されるたびに大好評を博し、大手から提携しないかという話が舞い込んでくるようになりました。

この頃、郡司さんはお店の店長となっていましたので、もと同級生でオーナーの女性に相談したところ、女性は予想もしなかった提案をしました。

自分で会社を興してみたらどうか、と。

郡司さんは、会社経営など全く未知の世界で、自分にはとてもできるはずがない、と言いましたが、女性は、それなら私のところと合弁という形でやろう、花の業界のことだったら私は精通しているし、資金は私が出す、とおっしゃってくれました。

これが、現在郡司さんが社長を務める会社の母体となったのです。

常に順風満帆ではありませんでした。

しかし、いつでも知恵を出し合い、助け合ってきました。

かつての同級生とはただの1度も喧嘩をしたことはありません。

彼女は3年前に亡くなりましたが、郡司さんはこの大恩人への感謝の気持ちを一時たりとも忘れたことはありません。

正社員を1人、また1人と増やしながら、牛の歩みのように少しずつ会社を大きくし、今では業界を代表する企業となることができました。

今、生花とプリザーブドフラワーを中心としたフラワーアレンジメントを大規模に展開しながら、小児性白血病に冒されている子どもを救う基金も設立して、広く社会にも貢献しています。

しかし、郡司さんにとっての唯一の心残りは、今は亡き幼かった娘を背に、死のうと思って訪れた、あの山間の町で、自分を救ってくれた旅館のご夫妻にご恩返しができていないことでした。

仕事に忙殺されて出かけて行くこともできず、宿代すらお返しできていないことは本当に申しわけないことでした。

近いうちに休みを取ってあの町にお邪魔し、あのときの封筒に入れたまましまってある5枚の千円札を、ご夫妻に直に手渡したい、そしてできるかぎりのご恩返しをしたい、それが郡司さんの願いなのでした。

本当の真心は決して見返りを求めない、だから人を救う。

この言葉で、郡司さんは講演を締めくくりました。

生け花と灯り

今日も、どこかのパーティーで、あるいは式典で、郡司さんが考案した斬新なデザインの花々が、会場を美しく演出していることでしょう。

CDを聞き終わって、西山さんはその光景を心に描きました。

・・・・郡司さん、本当にありがとうございました。

・・・・また、・・・お見舞いに参ります。

・・・そのときは、・・・・懐かしく、昔話をいたしましょう・・・・・。


                                      了







スポンサーサイト


この記事へコメントする















Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。