2014/06/27 14:02:09
2014年6月27日(金)の全国紙。
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「本当に/心の底から/願っていることに/向き合えば/いのち輝く」(『点滴ポール 生き抜くという旗印』ナナロク社刊)。
進行性の筋ジストロフィーと闘う仙台市の歌人・岩崎航(いわさきわたる)さんの歌だ。
▼同じ病に侵された画人の兄と共に“兄弟展”を開いた話題(本紙8日付)は、大きな反響を呼んだ。
人工呼吸器を着けたベッドの上で、命を削るようにして紡ぎ出した一文字、一文字が、言葉の力、生きることの素晴らしさを、あらためて教えてくれる。
▼幸福について考えさせられる話がある。
フランスの哲学者ディドロのエッセーにちなんだ「ディドロ効果」。
一つ高価な物を所有すると、それに見合う高価なものをそろえたがる消費行動のことだ。
▼彼は、ある日、友人から見事な緋色(ひいろ)のガウンをもらった。
歓喜もつかの間、ガウンを着て過ごす書斎が気になりだし、身なりに見合う新しい品を一つ一つそろえた結果、かえって居心地が悪くなった。
最後はガウンをもらったことを後悔したという(「私の古い部屋着に対する愛惜(あいせき)」)。
▼物欲などの「相対的幸福」は際限がなく、追い求めても、何が「幸福」なのか分からなくなる。
一方、極限の「いのち」への感謝は、自らが輝き、友を照らす。
その生き方を貫く人は、幸福である。
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要は『青い鳥』の教え。
四畳半も住めば御殿か。
求むべからず「われらのみ」(『刑事コロンボ 策謀の結末』)。
「人には相応しき贈り物を」(同上)。
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