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学生

大学へ向かう満員電車の吊り革につかまりながら、iPodの曲に飽きたので一瞬音楽を止めたときのことでした。

すぐ隣にいた学生2人の話し声が、ヘッドフォン越しに聞こえてきました。

「あのセンセーの話、メッチャなんもわかんねーよ。」

「セージガク?」

「あー。オレ、セージなんてなんもキョーミねーし。」

「おまえ、セージガッカじゃね? それって、マジヤバクね?』

「だって、キョーミねーも。総理大臣だれ、ぐらいわかっけどぉ、あとなんもわかんねーも、オレ。」

「マジで? じゃ、ガイムダイジンとか、知らね?」

「あー。」

「バッカじゃね。マスゾエだろ。」

「えー? それって、タレントじゃね?」

一貴(かずき)は体の中心から発生してきた悪寒を必死で抑えながら、iPodのスイッチを急いでオンにしました。

そして、ボリュームを一気に上げたのですが、2人に対する嫌悪感は一貴の心臓をわしづかみにして揺さぶり続けたのです。

大教室でおこなわれる授業は、場合によっては喧噪を極めました。

教師がマイク片手に講義をしているのにもかかわらず、学生たちは勝手な私語に興じています。

私語の内容は、インターネット上の掲示板、プロスポーツ、芸能、異性などについての皮相な話題に終始しており、とても最高学府に通う人間たちの会話といえるものではありません。

あまりのやかましさに激怒した教授が、授業中に「大学は低能児の来る所ではない!」と一喝したことがありましたが、そのとき、一貴は反射的に思いました。

自分たちがその低能児を入学させてんじゃん。
なに言ってんの?

図書館なら少しは真面目な学生が集まっているだろう、と思って行ってみると、本来静寂をもって旨とする閲覧室すら低俗な大声と高笑いの場と化していました。

しかし、授業中よりはまだマシなので、なるべく人がいない席を捜して英語の予習をしていると、1人の男子学生が声をかけてきました。

「ちょっと、いいですか?」

一貴が顔を上げると、その学生は一冊の冊子をかざして言いました。

「日蓮上人をどう思いますか?」

げっ!
宗教の勧誘かよぉ!

一貴はイヤだなあと思いましたが、気を取り直して言いました。

「それは鎌倉仏教をどう思うか、ということですか?」

それを聞くと学生は顔をひきつらせながら言葉を返してきました。

「え? いや、鎌倉とかじゃなくて、日蓮上人を・・・・。」

一貴は即座に言いました。

「だって日蓮は鎌倉仏教の僧のうちの1人でしょう? だから、そう聞いたんですよ。ぼくは鎌倉、好きでしょっちゅう行くんですよ。ここに入ってからはあんまり行ってないけど。本覚寺のこっちがわに日蓮の辻説法跡があるでしょ? あそこなんかに行くと歴史の真実を感じ・・・。あれ?」

一貴の話が終わらないうちに、学生はすごすごと逃げて行きました。

マジ?
なさけねー。
ちょっとは勉強してから来いよ。
オレみたいなヤツに負かされてどーすんだよ。
なさけねー。


                                      つづく
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Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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