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ウエディングリング

「なんだか、めめしいんですけれど、最近また太ってしまって、やっぱりあの頃に戻りたいと強く思うようになって、せめてもの慰みにと昔の自分の写真を・・・・。」

れいなさんは写真を静かにバッグにしまいました。

山本さんは、もう彼女が気の毒で、何も言えなくなっておりますよ。

それを察してか、れいなさんは言葉を続けました。

「それと、あの頃に戻りたいと思う理由は、もうひとつあって・・・・。それは、・・・結婚っていうことなんです。」

「け、結婚・・・?」

山本さんがミョウチクリンな顔をして尋ねますと、れいなさんは哀しい表情を浮かべて言いました。

「私、結婚が決まっていたんです。でも、病気が悪化してしまって、今の薬を飲み始めたんです。で、けっきょく破談になりました。あの写真の頃の少し後です。それからは、病気と闘いながら、ずっと独りで。」

「そ、そうですか・・・。大変だったねえ・・・・。」

山本さんは、今にも泣きそうになっております。

しかし、メソメソしてる場合じゃない。

ここは一番、彼女のためにひと肌脱ごうと思って、珍しくも、いや本当に珍しくも、山本さん、実に前向きな提案をしたんですよ。

まあ、今まで彼女を無視して嫌ってきたことに対する申し訳なさも手伝ってのことなんでありますが、それにしても、山本さん、たまにはいいこと言うんだねえ、あんたも。

その提案とは、次のようなものだったんです。

「あのね、ぼくも最近腹が出っ張ってきちゃって、女房からみっともない、不格好だ、メタボに気をつけろ、なあんて、しょっちゅう言われてんの。だから、どうだろうねえ。2人して、毎日、ダイエットランチといきませんか? 要するに、あなたが自分の分とぼくの分と、カロリーの低いヘルシー弁当、2つ作って持って来んの。もちろん、材料費は払いますよ。あなた、専門家だから、弁当の中身は全部お任せしますよ。ぼかあ、好き嫌いまったくないから、なんでも来いだあ。大丈夫よぉ。うははははは。」

れいなさんは、自分の肥満は薬のせいだからダイエットしてもムダじゃないか、と一瞬思いましたが、そんな現状へのストレスから毎日高カロリーのものをたくさん食べていたかも、と反省しました。

で、山本さんのこの提案を快く受け入れたんであります。

かくして、れいなさんは2人分のローカロリー弁当を作って持ってくる日々となりました。

彼女、朝食の明石焼も6個から3個に減らして、その分、ちっちゃい野菜サラダを召し上がるようにしました。

弁当の方も野菜中心で、味付けは天然塩、三温糖などを使った薄味ですが、さすがにものすごくおいしいんですよ。

いうまでもなく、化学的な食品添加物はいっさい使っていません。

一食あたり350キロカロリー以下なのに、ビタミン、ミネラルたっぷり、低脂質、低糖質にして、高タンパク、高繊維質の健康弁当ですね。

それにですね、れいなさんが厳選した安心食材を使ってますから、どこぞのギョウザや牛みたいな危険な心配はこれっぽっちもありません。

でもね、一番すごいのは経費、材料費ですよ。

一食あたり、たったの200円でいいって言うんですよ、彼女。

食材は専門のルートから買ってるから格安なんだそうで。

山本さんの奥さんは、最初は会社の女の人に弁当を作ってきてもらうことにいい顔しなかったんですが、山本さんかられいなさんの事情を聞き、さらにこの材料費のことを聞くや、にわかに大喜びしましたねえ。

よくよく計算してみますとね、ヘタすると今までの残りもん弁当より安くつくんですよ。

さあ、2人のヘルシーダイエット弁当大作戦が始まりました。

ランチタイムに、山本さんはれいなさんといろんなことを話すようになりました。

みるみるうちに、2人の人間関係は飛躍的に改善されました。

これが仕事の上に好影響を与えないはずはなく、山本さんとれいなさんはお互いの良いところを上手に生かし合って、大変に効率よく仕事をこなせるようになっていったのであります。

一ヶ月もすると、おかげで、山本さんのお腹もだんだんへっこんできたようですよ。

そして、な、なんと、れいなさんが細くなってきたんですよ。

さらに、ある朝、彼女がうっすらとお化粧をしていることに山本さんは気付いたんです。

彼女を見て微笑んだ山本さんに、れいなさんが言いました。

「お医者様に、驚くほど良くなっているって言われたんです、病気。だから、皮膚も強くなってきているはずだって。で、今日は思い切ってメイクしてみたんです。そしたら、大丈夫でした。・・・・うれしい・・・・・・。」

れいなさんは、そう言うと瞳をうるませました。

よかったねえ、ほんとに、よかったねえ・・・・・。
この調子で行こう。
病気、治るよ、絶対。

そう言いたかったんですが、そう言うと泣いちゃいそうだったので、山本さんは必死にこらえながら目を細めて、うんうんとうなずきました。

山本さん、いいことしたねえ。

よかった、よかった。


                                       了
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Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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