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ビルディング

彼の会社は東京のど真ん中、ウォーターフロントのビルの中にあります。

会社の規模としては一部上場の一歩手前ですが、業績は好調です。

この不景気のご時世にあって、毎年年商を伸ばしています。

いわゆるIT関連の企業で、特に中東の産油国と活発に取引をしています。

3年前、彼は大学を出てすぐ、この会社に入ることができました。

すばらしくラッキーだった、と彼は思います。

彼の大学は一流とはいえず、内定を取り消される学生がとても多かったからです。

彼が経済学部の出身で、財界通だったゼミの教授が推薦してくれたことも幸いしました。

というわけで、喜んで入った会社でしたが、やっと仕事が楽しくなり出したここにきて、雲行きが怪しくなってきたのです。

同室の課長が原因でした。

この4月、課長は、人事異動で関西の支社から転勤して来ました。

40代の半ばぐらいでしょうか。

課長

外見はいつもきちんとしていて、服装にも気を遣っています。

不潔な感じもありませんし、趣味の悪いコロンの匂いもしません。

しかし、この人物の性質がだんだんとわかってくるにつれて、胃が痛むようになってきたのです。

先ず、課長は、部下に対して敬語を使ったことがありません。

特に、女子社員には非常に横柄な態度を取ります。

あと一歩でセクハラじゃないかと思われるようなことを平気で言います。

また、男子社員はアゴで使って「ご苦労さん。」の一言もありません。

何か報告などをしても無言で、「ありがとう。」と言ったためしがありません。

笑顔を見せたこともありません。

常にしかめっ面をしています。

部下がミスをすると、鬼の首を取ったかのように激しくなじります。

しかし、逆に部下が仕事で成果を上げても絶対に褒めません。

この数ヶ月間、彼もまたそのような目に何度となく遭ってきました。

彼は生まれて初めて5月病というものを経験しました。

連休明けの朝、独り暮らしのワンルームマンションから外に出たくない、と心から切望している自分を発見したとき、目の前が真っ暗になるほどショックを受けました。

でも、根がまじめな彼は必死に精神を奮い立たせながら会社に向かいました。

どうしてもその日のうちにすませなければいけない仕事があったのです。

やっとの思いでオフィスにたどり着き、自分のデスクの前に座った彼は「おやっ?」と思いました。

CD-R

パソコンの横に、見慣れないCD-Rが数枚置いてあるのです。

手にとってよく見ると、やはり自分のものではありません。

誰かが間違えて置いたのかな?

そう思って辺りを見回した、そのときです。

もう出社して席に着いていた課長が言いました。

「あ、君。ちょっと。」

何だよ、連休明けの朝から。イヤな予感。

足を引きずるような思いで歩いて行くと、課長がぶっきらぼうに言いました。

「あのCD、頼むよ。得意先のデータが入ってるから。あれをもとにして明日の会議用の資料、作っといて。今日中。」

ええっ! マ、マジでっ!?

その日は、彼が属している企画チームが明日の会議に提案する新製品のアイデアについての資料を作らなければならなかったのです。

もちろん、こちらも今日中に。

それって、課長の仕事じゃないの?
なんでオレに振るわけ?
うっ!

急に痛み始めた胃を押さえながら、仕方なく彼は言いました。

「・・・・はい・・・。」

                                      つづく







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Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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