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飢餓海峡ポスター

毎日新聞に出ていた玉木研二さんの「そして名画があった『飢餓海峡』」が大変に興味深いので、抜萃(ばっすい)してですが、ご紹介します。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

内田吐夢1

水上勉原作で内田吐夢(うちだとむ。1898〜1970年)がメガホンを取った東映作品「飢餓海峡」。

飢餓海峡原作

主人公の樽見(三国連太郎)が八重(左幸子)を圧殺してまで封をしておきたかった過去とは何か。

戦後のどさくさに成り上がり、いつの間にか社会の表で人徳豊かな名士として通る人々は、おそらく、高価な衣装の裏地に少々脂汗をにじませながら見たことだろう。

54年9月、台風で遭難し北海道函館港外に沈んだ青函連絡船洞爺丸(とうやまる)。

作品はこの事故を敗戦直後の47年に置き換え、船名を「層雲丸」とした。

函館署の初老の刑事、弓坂がキーマンとなる。

コメディアン伴淳三郎がシリアスな役に初めて挑んだ。

飢餓海峡伴2

弓坂は、層雲丸事故後に打ち上げられた男の死体に不審な傷を見つけて以来、こつこつと捜査を続けた。

徒労に終わったかに見えたが、かつて犬飼という怪しい男の足跡を追って事情聴取したことがある八重が、変死体で発見され、捜査が動き始める。

飢餓海峡伴1

その展開と劇的な終幕は未見の方のために伏せるが、富者の威厳を漂わせる樽見(犬飼)と、朴訥(ぼくとつ)で風采もあがらぬ弓坂刑事の対決は心動く見せ場である。

飢餓海峡伴3

「私説 内田吐夢伝」(鈴木尚之著 岩波書店)に「飢餓海峡」の俳優たちと内田監督の逸話が紹介されている。

シナリオ作家協会会長も務めた著者は、この映画の脚本のほか大作「宮本武蔵」でも内田と組んでいる。

内田伴

それによると、異例の配役だった伴淳三郎への演技指導はしごきのようなものであったらしい。

こんな具合だ。

<吐夢の怒声がとんだ。

「伴くん、アジャパーやってるんじゃないんだ。

きみはアドリブ芝居ばかりやってるからそういうことになるんだ!」

こうしたテストがくりかえされ、また監督の叱責が叩きつけられるたびに伴はますます緊張の極に達していった。>

伴は山形出身。

喜劇や軽演劇で人気を博し、「アジャパー」のギャグは流行語になった。

映画でも「二等兵物語」や「駅前旅館」シリーズで実績がある。

この「飢餓海峡」撮影時には56歳、押しも押されもせぬといったところだった。

だが、その撮影中の憔悴(しょうすい)ぶりが弓坂刑事の役づくりにはまった。

内田の狙いもそこにあったらしい。

公開後、伴は絶賛され、毎日映画コンクールで男優助演賞を取る。

彼自身、役づくりのため、警察で取り調べの実際を見たり、5年も1人の犯人を追い続けている刑事に学んだりしていた。

内田吐夢2

試写会の後、内田は「伴ちゃん、ご苦労だったね。」と目を光らせて言った。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

この作品は、間違いなく三国連太郎さんの代表作だと思います。

しかし、伴淳三郎さんのあの名演技が生まれた背景に、内田監督の峻烈(しゅんれつ)を極める鬼の指導があったとは、知りませんでした。

しかも、それが、伴さんの力を、本人に気付かれないままに引き出そうとした、大変巧く計算されたものだったというのですから脱帽です。

この人から能力を引き出すにはどういう方法が最適か。

内田吐夢監督は、常にそれを知っていたのでしょう。

その手腕の確かさは、『飢餓海峡』で伴さんが毎日映画コンクール男優助演賞を受賞したことが証明しています。

人の中に眠っている能力を見抜く。

そして、その人に最適の方法を使ってそれを上手に引き出す。

そうすれば、人は育っていきます。

上に立つ人、リーダーと呼ばれる人に欠かすことのできない力がこれでしょう。

また、これは「教育」の基礎です。

どのような分野でも立派な業績を遺す人は、こういうことがきちんとできているのです。

見倣うところ大です。
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【伴淳三郎氏の演技→素晴らしい】
「◎◎だ!◎◎に違いない!」のド迫力。ほかの俳優では
ここまでリアリティを出せまい。
【同感です】
☆beowachterさんへ☆
本当にそのとおりです。
この作品での伴淳三郎さんの芝居は、超弩級の素晴らしさでした。
ああいう役者さんはもう出ないのでしょうか。
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毎日新聞に出ていた玉木研二さんの「そして名画があった『飢餓海峡』」が大変に興味深いので、抜萃(ばっすい)してですが、ご紹介します。☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆... ...

Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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