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氷見うどん

もう10年ほど前のことです。

親戚の法事で富山県の高岡に行きました。

富山に滞在するのは初めてでした。

そこで、平泉に逃げる途中、源義経が雨宿りをしていたら急に雨が上がってすぐに前進することができた、という故事から「雨晴(あまはらし)海岸」と呼ばれている浜辺に行ってみることにしました。

単線のローカル線・JR氷見(ひみ)線でゆっくり走り、やっと着いたと思ったら、本当に海岸以外何もないところでした。

雨晴海岸

海の中に小さな島が浮かんでいたりして、それはそれで風情を感じ、暫し義経のことを思いました。

しかし、帰りの列車は1時間後です。

季節は秋だったので、富山の海辺は寒いのです。

駅のホームは吹きさらしです。

一見すると、周囲に店鋪はありません。

どうしようかと思ってふと見ると、街道沿いに喫茶店らしきお店が一軒だけありました。

遠くからだと開いているかどうかわからないので、どんどん歩いて行ってよく見てみました。

すると、どうやら営業しているようです。

それがわかると、俄(にわか)にお腹が空いてきました。

でも、喫茶店だからトーストみたいなものしかないだろう、だったらそれでいいや、と思いながら入りました。

中年の女性が1人でやっている、カウンターだけのお店でした。

メニューに目をやると、案の定、食べ物はトーストだけです。

仕方なく、ビールとトーストを頼みました。

ジョッキを傾けていると、女性店主が話しかけてきました。

例によって、どちらから見えたのですか、と。

東京、と答えると、彼女は前の年に東京見物に出かけたときのことを楽しそうに話し始めました。

女性が訪れた場所は全部よく知っている所ばかりでしたので、思わず会話が弾みました。

そして、今度はこちらが富山についてのなけなしの知識を動員して話す番になりました。

そこで、麺好きとして調べておいた、富山が誇る「氷見うどん」のことを語ったのですが、このとき、食べたいですねえ、の一言がポロッと口から出てしまったのです。

すると、信じられない言葉を女性が発しました。

「ありますよ。」

えええ!?

なんと、メニューには書いていないが、食べたければ「もり」でも「かけ」でもお出しできます、とおっしゃるではありませんか。

加えて、うどんだけでは寂しいので、「キス」が手元にあるから、それを天ぷらにして差し上げましょう、と。

斯くして、「もり氷見うどん」「キスと野菜の天ぷら」「新鮮サラダ和風ドレッシング」の3品をいただいたのでした。

東京の話題で盛り上がったおかげで、初対面とはとても思えないサービスをしてくださったのです。

氷見うどんもり

特別に出してくださった料理はどれもみなとても美味しかったですが、初めて食べた氷見うどんはものすごくなめらかで、優しい味わいでした。

コシは強くなく、それでいてふがいなくない、喩えるなら「しっかりした女性」みたいな感じでした。

帰京の際に乾麺を買い求めたのは、言うまでもありません。

初めて逢う人でも、会話のしかたひとつでここまで打ち解けられるのだ。

そんなことを、あのときの氷見うどんを想い出しながら考えます。

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Mr.NAO

Author:Mr.NAO
東京都港区出身 
男性 
水瓶座

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